2018年9月13日木曜日

Seguridad Social (Ⅲ)

Seguridad Social (Ⅱ)からの続き

薬の処方方法に関しても、日本とスペインでは随分違います。まず、日本では処方薬と市販薬とで製品形態が分かれていますが、こちらではそうではありません。(※最近ではセルフメディケーションという新制度により処方薬と同成分が処方箋無しでも購入できるものもあるようですが) 例えばイブプロフェンを購入したい場合、日本では市販のものの含有量は200㎎までとなっているようですが、例えば病院を受診して、必要があればそれより含有量の多いものを処方してもらえますよね。もしくは、市販自体がない薬の種類も多いですよね。こちらでは、薬局に行けば同じ薬が手に入ります。つまり、病院に行くことなく、必要な薬を購入することができるんです。同じ薬を買うのに処方箋を持っていくとどうなるかというと、値段が安く手に入ります。一度腰痛で受診した際に、痛み止めと筋肉を緩める薬を処方してもらいましたが、他の薬と同様、市販のものと同じ20錠入りの箱をもらいました。結局二、三日服用して症状が改善したので手元には無駄な薬が大量に残りました。日本では医師の判断で症状に応じた日数分が処方されますが、こちらは市販と同じものですから、錠剤の数を綿密に増減することはできません。たとえ数日しか飲まない予定の薬でも、20錠なり30錠なり、販売されている個数を丸々購入するしかないのです。

処方してくれる薬も最低限のものです。また個人の経験談になりますが、例えば日本で皮膚科に通っていた時には、飲み薬と塗り薬を合わせて処方してくれていました。ところがこちらでは、最低限のもの、つまり飲み薬のみが処方され、塗り薬は処方されません(一度だけ症状が非常に悪いときにはステロイド入りの塗り薬を処方されましたが)。一度塗り薬が欲しいと言ってみたところ、薬の代わりに市販の痒みに効く市販製品をお勧めされました。また、例えば葉酸を摂取しようと思う場合、葉酸のみの錠剤は処方してくれますが、カルシウムや鉄分、マルチビタミン入り、といった付加価値付きの錠剤は処方してくれません(医師や患者の体調によっては対応してくれるかと思いますが)。余計なものは自分で(自費で)買ってね、というスタンスです。報酬をあげるために処方薬を無駄に増やす医師もいるというような話も聞きますから、日本の処方箋システムが優れているとは単純に考えられませんが、そういった例外を差し引いても、症状を和らげるために多方面からアプローチして必要な日数分のみ処方してくれる日本の処方薬はやはり効率がいいように思えます。逆に、慢性的な病気で常に同じ薬を必要とする場合、スペインのシステムの方が効率よく思える場合もあります。現に私の慢性蕁麻疹がそうですが、日本では数週間から数か月ごとに、いちいち受診して新しい処方箋をもらわなければなりません。一方スペインでは、長期に渡り(私の場合は凡そ1年分)処方してもらえるので、受診し直すことなく薬局に行けばいいだけなので、負担が軽いです。

これまで相違点をメインに話してきましたが、最後に不思議な点をあげておきたいと思います。まずはジェネリック薬品について。処方箋にはいつも商品名ではなく、成分名が書かれています。薬局でSSカードを提出すると(電子処方箋としてカードに記載されている)薬剤師が薬を売ってくれるのですが、常にジェネリック薬を持ってこられていたのでてっきり保険にはジェネリック薬しか入らないのだと思い込んでいました。ところが、ある薬局で購入した薬が、ジェネリックではないことが判明。それ以来その商品名を言って購入していますが、不思議なことに対価はジェネリックと同じなのです。日本では薬代を抑えるためにジェネリック薬が用いられますが、スペインでは価格に違いがないのでしょうか。また、ある時二種類の薬を買いに行き、一つ目はいつも通りジェネリックではないものを頼みました。すると薬剤師さんは、もう一方の薬もジェネリックじゃないものにするかどうか、提案してきたのです。どちらも同じ価格で買えるなら、だれもがジェネリックではないオリジナルの方を欲しがるようになりそうなものですが・・・。不思議なシステムです。

次に予約について。日本では小さなクリニックなどに行くと凡そ15分毎、もしくは三十分毎に予約を受け付けている印象があります。ところがこちらで空き時間を確認すると、10:43、11:21など、切りの悪い時間が出てくることがあるのです(笑)。マドリードではネット上で予約を取るのですが、カレンダーや時間割形式ではなく、希望日の希望時間帯を選ぶと、それに近い空き時間が三択で現れるので、その中から選びます。もしそれ以外の日時を希望する場合は、再度日時を指定しなおして検索します。前回のエントリーで書いた通り、たいていは待ち時間が長く、1時間~2時間ほど待たされることも普通なのですが、逆に患者が自分以外誰もいなかったこともありました。その時でもやはり、画面上の予約枠は不思議な時間が表示されました。また、これはわたしのかかりつけ医に限ったことかもしれませんが、彼女の診察室前はたいてい患者だらけで、それ故1時間以上待たされることが多いのですが、同じフロアの他の医師の診察室前は、どこもがらんとしていて、常に人が少ないのです。長時間待たされるので観察していて気づいたのですが、患者が集中しているのは彼女の診察室前だけなのです。もし彼女の担当患者数が多いなら、なぜ新規参入者であるわたしをあえて多忙な彼女の担当に加えたのか、そのあたりの仕組みが気になります。

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